施術内容について

< 施術内容について>

膝から足首まで、深部に至る施術 

からだの変化は、必ずしも解剖学的に分類されている部位単位で起こるものではありません。単に後付けの便宜的な分類なので解剖学を学び理解する事は大切ですが、この様な頭での理解を離れてからだに触れた指からの感触や目からの情報などとクライアント(お客様)のフィードバックにより状況を判断する事が大切です。指からの情報は、ある部分の弾性、しこり、硬さ、ゴリゴリ感、柔らかさ、レスポンスの良さ・悪さ・それらの範囲、深さ、表層部にあるのか・深部なのか、など多彩です。目からは艶やかな健康ピンク、ドス黒い不健康な肌など。クライアント(お客様)からは痛い、不快だ、心地よい、楽になった、解放された、などなど。

例えば、ふくらはぎを構成する大きな筋肉、腓腹筋は、その全体が硬化するのではなく、一部の筋線維群のみ袋状に硬化して、周りとは明らかに異なりが見受けられる事がある。また、表層部分は程よく弾力がある状態なのに、少し指を進めて深い部分を探ると融通の効かない沈黙部分が現れ、少し押すだけで痛い。多くの方は深い部分までを気にする事は普段はないので、この状態を見過ごす。

膝から足首までは、内側の脛骨と外側の腓骨を軸にして、ふくらはぎ(後側)、すね(前側)、内側、外側に分けて考えられる。そこは、骨、筋肉、血管、リンパ、神経、靭帯・腱と、それらを連携させ、形成し、保護し、養分・老廃物を受渡す結合組織との複合構造体である。

ふくらはぎの深い部分、脛骨と腓骨に挟まれた辺りに太い血管が走る。上下に走るこの血管だけではなく、横方向にも網の目の様に交通枝と呼ばれる血管が走り、この部分は第二の心臓と言われる。筋肉の収縮とリラックスに伴い足先まで下がった血液を重力に抗して押し上げて、血液循環を心臓と協働する。

足首から下の部分は複数の小さな骨の集合体であり、靭帯・腱等で結合し、筋肉に固定されている。数十キロの体重を支え、歩行、跳躍等の衝撃でも機能を損なわない様にするため、常に強力な張力下にあり硬直度合いは他のどの部位よりも激烈で弾き返す様な強靭さを持つ。その強固な状態であるから安定を生み出していると思うかも知れないが、本来求められるのは強固ではなくて、複数の骨が粘り強く衝撃に抵抗できる柔軟性である。柔軟で融通ある強さが本来の姿である。

膝から下の部分は、腰部、上体や頭部までが柔軟にからだのバランスを保つ基礎であり、同時に心機能そのものである。

同じ足でも幼児の足を手に取るとフワフワ・モチモチである。幼児は筋肉が発達していないので、幼児の足の状態が成人の理想とは言えないが、その様なフワフワ・モチモチの時も有った事を考えると、もう少し融通のきく足で良いのではないか。年齢が上がるに従っておきる肉体硬化の進行をただ受け入れるのではなくて、柔軟性・融通性を求めるためには、外部からのエネルギーを活用して、その進行度合いを変える必要がある。その一つが施術である。

凝り固まった部分の施術は拒否される様な反発を受け、時には痛みを伴う。だが、あせらず、継続的で諦めない施術により、柔軟でレスポンスの良いからだを取り戻す事ができる。一度その様な状態になると、以降は極めて友好的な反応をする様になり、からだは常に開放感に満ちる。それに施術も短時間で済む。

まず、ふくらはぎの内側(からだに近い側)から脛骨までを対象として、膝の内側(ひかがみ)近くまで硬化部分(筋肉、腱)を施術する。数㎝幅の筋線維群を対象とする細長い部分を扱う施術は、弾力のある中で不安定になり易いので手を添えるなどでふくらはぎを安定させる。さらに脛骨に沿って指を滑らせて、しこりを探す。骨膜との接点に問題を見つける事がある。なお、深部(脛骨と腓骨の中間部分)には動脈・静脈が走るため、注意深く行い深部の硬化(実際は直接触れる事が不可能な部位)までを解消する意識が大切である。ただし、痛みを伴う事が多いため、闇雲に圧を加えるのではなくて丁寧に先を急がない。

次に、下腿の前面、脛骨と腓骨に挟まれた部分(すね)を上から下に確認する。この部分、特に足首に近い部位はもともとかなり緊張しているため、施術にはある程度の圧を必要とする。

最後に腓骨に沿った外側を施術。この部分は最初に施術を行うふくらはぎと連動しているため、腓骨周辺の施術が主となる。

足首から趾骨(足指)までの施術

足首には、下腿にある骨、筋肉、血管、リンパ、神経、靭帯・腱の部材が狭い範囲にギュっと収まっている。従って、より強固でなくてはならない一方で、からだのスムーズな移動を司る部分であり円滑さが求められる。足首の内側、脛骨内果と距骨、踵骨との間の隙間を内果の膨らみに沿って指で押す。この部分は靭帯で覆われているために、場合によってはかなりの力が必要となる。ただし、指をゴリゴリとスライドさせる方法は痛みだけで効果が無い。靭帯は結合組織である事を理解した上で、施術によりエネルギーを加える感覚が必要。

距骨、踵骨に沿って足底に指を進める。趾骨と踵骨を結ぶ筋・腱、足底靭帯など顕著に確認できる箇所を施術。この部分は強靭な靭帯が走っている場所で、外部からの施術を厳しく跳ね返すが、息の長い緩やかな処置によって驚くほどの柔軟さを取り戻す。なお、足底はもみほぐしなどの市井の施術では重点部位であるようだが、そこだけを意識する必要はない。

腓骨外果の周囲も距骨、立方骨、踵骨に沿って丁重に施術を進める。この辺の靭帯は捻挫により硬化している事があるため無理をせずに、広い範囲の靭帯を施術する事で軟化を促す。

踵骨と第五趾骨(小指)との空間を施術。表皮に近い部分をまず対象として、その後に現れる内側のあたかも強靭な生ゴムでできたような靭帯部分に対して行う。

各趾骨の間を指で押さえて、指先から中足骨の根元までを施術。その後、内側・中間・外側楔状骨、舟状骨、立方骨の集合体を足背(足の甲)側から施術。

足首から趾先までの柔らかさについては、自身の経験が基本にあります。私の足は両足とも外反母趾です。それまでは趾(足の指)で床に落ちた物をつまみ取るなど、自由に趾を操作する事が当たり前でした。ある時、多分50歳半ば頃に、自分の足の指が曲がっている事にフト気が付きました。趾は自由に動かす事ができないし、足全体の感覚がゴワゴワして自分の足の感覚が無く、苛立たしさを感じるばかりでした。今はかなり自由と開放感を取り戻しています。

肘から手首の施術

背・肩の緊張は前腕に現れ、前腕の緊張は背・肩の緊張を生む。緊張を解いて、肩甲骨の自由度を取り戻すエクササイズを補助する。

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