犬の解剖学に精通している訳ではないので、触診を通じてからだの状況を確認していきます。知識を最初に頭に詰め込むのでは無く、そこにあるからだを感じながら施術をする事は、ある意味において理にかなっていると思います。今回はワンコのからだに状況を教えてもらいながらの、施術です。
ちなみに、Ida Rolfのお弟子さんのSharon Wheelerは、Idaから解剖学を勉強しない様に言われた方です。Idaと同じ様にからだを見ていた事が理由であったと聞いています。
これは私の推測ですが、Ida Rolfは生化学で学位を取得た程の科学的知識を持っていましたが、彼女独自の理論であるロルフィングに至るまでには、解剖学などの知識から入るのではなく、施術の実体験を積み重ねて真理に至ったのではないかと思います。ただし、Idaの晩年に出版された著書であるRolfingには、タップリ解剖学をベースにした記述が詰まっています。
2014年、Sharonが日本に来た際に個人セッションを受けました。セッションを受けるちょうどその日の朝に、右腕を物に強打してしまい指先から肩までが痺れた状態で出かけたのですが、その状態のヒドさが逆にどんな施術が受けられるのだろうかと、なんだかとても幸運に思えました。
受けた施術はとてもユニークな感覚でした。目で見ていたのではなくて、自分のからだで感じた事ですが、関節近くの何かコリコリした筋っぽい部分を順番に腕先から肩口まで、彼女の指先で転がしている様な施術でした。その間、立会っていた女性と途切れる事無くペチャクチャとおしゃべりをしながらで、その事がとても印象的でしたが、終わると快適なからだになっていました。
そのコリコリしていたはずの場所を求めて施術を受けた右腕と、念のため左腕を自分で触って見たのですが、そんな部分はどこにも無くてプヨプヨしたいつもの肉塊が有るだけです。とても不思議で、なおかつ繊細な施術でしたが、とても真似ができません。施術を受ける側としては快適でしたが、技術の習得には失敗でした。
我が家のワンコの話に戻りますが、その後2〜3週間で元に戻りました。ロルフィングの施術にも慣れた様です。
参照資料 :
Rolfing The Integration of Human Structures Dennis Landman 1977 Ida P. Rolf