ウォーキング 7

立位の我々がする歩行は、上半身の不安定さを利用しながら、右足と左足を交互に前に出す事で成り立つ。

それ以外は全く条件付をしない、と考えてみます。普段の歩行を考えると、脚と骨盤のつなぎ目(股関節)を軸にして脚を振り出し、振り戻し、していますが、例えば、骨盤の上辺りから脚が生えている様な感じで、歩くとどうでしょうか。

骨盤の上の縁を前になぞって行くと先端から突然下に降る部分がありますが、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく anterior superior iliac spine 通称はASIS)です。股関節ではなくて、右脚が前に出る時には右のASISから動く。右のASIS、左のASISと交互に前に出すと、自然に右脚、左脚が前に出ます。

この場合は、股関節で歩く場合よりも腰のひねり(骨盤の前後の動き)が大きくなり、自然に歩幅が広くなります。私波膝の曲げ伸ばしをあまり意識しません。

この歩き方は、小林寛道さんが大腰筋ウォーキング(あるいは、コア・ストレッチ・ウォーキング)と呼んでいる歩き方と似通っているように思いますので、参考にされたら良いと思います。

大腰筋はからだの深部に位置して、日常生活では意識しない(できない)筋肉ですが、活性していると寝たきりにならない、などと言われている注目の筋肉です。ただし、どの様な条件で活性するのかについては、筋電計で直接動きを測定できない深部のため、まだ科学的データとして十分に把握されていないのではないかと思います。

ちなみにロルフィングでは、1970年代にIda Rolfにより完成された10セッションのシリーズの中で、大腰筋を刺激する施術を行います。

さらに、腕、肩を同側のASISの動き方向に連動させる、連動させない歩きが考えられます。この歩きの良い所は、歩幅が自然に広くなる点です。それに股関節をほとんど動かさないので、股関節に不具合を感じている方には最適です。腕は大きく振って元気よく、でも良いですし、上体の動きに合わせて自然に振る、でも良いでしょう。

参考資料:
若返りウォーキング 脳と体が10歳若くなる歩き方があった 小林寛道

筋電計 :
対象とする筋の出来るだけ近くの皮膚表面に電極を貼る(表面電極)か、または、対象とする筋束に直接針電極を刺入して、筋肉の動きの変化を電気信号として測定する。

大腰筋 (psoas) :
胸椎12番、腰椎1〜4番から骨盤の前を通って大腿骨の小転子を結び、腰部と大腿部の連動を司る。また、横隔膜の左右内側脚(crus)を通じてからだの上位部とも関連する。