唾を飲み込む時に大きく動く、膨らんだ部分が有ります。甲状軟骨(thyroid cartilage)で、喉仏(Adam’s apple)とも呼ばれます。
甲状軟骨のすぐ下には、よくご存知の甲状腺(thyroid grand)が有ります。一方、甲状軟骨の直ぐ上には、Uの字をした少し硬い部分が有りますが、親指と人差し指で摘んで優しく左右に動かすと自由に動く部分で、舌骨(hyoid bone)です。ちなみに、舌骨は上下から筋肉のヒモでつながれて浮かんでいる、不思議な骨です。一般に、一つの骨は他の骨と靭帯などで関節していますので、舌骨はからだの中で特別扱いの様に思います。
食べ物を飲み込む時には、舌骨や甲状軟骨が大切な役割を負います。どうも最近はこの辺(喉頭)の働きが低下している人がたくさんいる様で、今年(2018年)の3月と5月の日経には、「ごっくん運動 のど筋トレ」、「飲み込む力鍛えて」と言った、記事が連続して掲載されています。
記事によると、飲み込む機能は60代から低下するとの事です。私は誤嚥(ごえん : なんらかの理由で、食物が食道ではなくて、誤って気管に入ってしまう状態)では有りませでしたが、食道に異常を感じたのは60代でした。さらに、誤嚥を引き起こす喉の筋力低下は40代からすでに始まるという事です。
「飲み込む」と言う喉の複雑な動きは、脳の延髄に中枢があって、大脳がコントロールして口や鼻、のど、食道などの器官をタイミング良く動かす動作で、本能的に行われます。ちなみに、延髄は脳の深部に有って生命維持を司り、哺乳類が進化の過程で爬虫類から受け継いだ部分です。
記事には、「飲み込む力」の低下が分かるチェック表があります。(転記)
1. タンがのどによくたまる。
2. 唾液が多いと感じる。
3. 声の感じが変わった。
4. 食事中や食後によくむせる
5. セキ払いが増えた。
6. 寝ているときによく咳をする。
7. 飲み込む時に引っかかる感じがする。
8. のどが詰まった感じがする。
9. 液体の方が固形物より飲み込みにくい。
10. 食べ物や飲み物が鼻に流れる。
私の場合は、8番が該当しました。2〜4個の項目が当てはまる場合は、飲み込む機能が少し低下した状態だそうです。この段階になる前に、顎の運動を始めれば良いのでは無いでしょか。
参考資料 :
ごっくん運動 のど筋トレ 日本経済新聞 カラダづくり 2018年3月10日 掲載
「飲み込む力」鍛えて 日本経済新聞 2018年5月28日 掲載
誤嚥 日本気管食道科学会ホームページ