GakuInnKou 顎・咽・喉 4

顎の運動はさらに続きます。
少しづつ可動域が左右、前後に広がるにつれて、外耳道に動きを感じ始めたました。

外耳道は2/3が側頭骨に埋まっており、その先が鼓膜になりますが、外部から自由に動かせるものではありません。私が感じた動きは骨の内部の様ですので、顎関節の可動域が大きくなるに従って、周りの組織がうごき、さらに外耳道の内部にまで影響が及んだと言う事です。

しばらくすると、顎を右に動かすと右側の耳の奥で、左に動かすと左の奥で空気が抜ける、又は空気が動く様な音が聞こえ出しました。現在はもう音はしませんので、再現はできないのですが、サーと言った音で、明らかに鼓膜の奥からでした。耳は外耳、内耳から耳管へとつながり、鼻の奥で解放されています。明確ではありませんが、耳管から空気が漏れ出ている音の様にも感じました。飛行機が着陸する際に、気圧の変化で耳がボーンとした時に、鼻をふさいで圧をかけて解消する時の穴(耳管)です。

私は60代になると、テレビの音を遠くに感じる様になり、音量を上げるようになっていましたが、顎が自由に動くようになってそのボンヤリ感が減少した様です。

ポリヴェーガル理論(the polyvagal theory. 多重迷走神経理論?)を提唱しているステファン ボージェス(Stephen W. Porgies)は、次の様に記述しています。
As vertebrates evolved from reptiles to mammals, the structure at the end of the mandible (i.e., jaw bone) that define components in the middle ear become detached. ―論文は続きますー
(脊椎動物が爬虫類から哺乳類に進化した時、中耳における構成要素を決定している下顎の端(すなはち、顎骨)の構造が切り離された。)

顎と耳、「顎の自由に動く事」と「聞く」と言うことは、こんな風に近い関係に有るのです。

参考資料 :
プロメテウス 解剖学アトラス 口腔・頭頸部
The polyvagal Theory: phylogenic contributions to social behavior. P.507. Stephen W. Porges