第3章
[P.136] そのため、乳酸が産生され、それが息切れや筋肉痛を引き起こす。
乳酸のからだに対する影響を知りたくなった。
乳酸が解糖系(glycolytic system または解糖経路 glycolytic pathway)において、ATP産生の過程でできるピルビン酸(pyruvic acid)を経て産生される事は、かなり前から知られていた。ただし、2000年初頭までは筋肉疲労物質と認識されていたようだ。その辺りの事情は「乳酸と筋肉疲労」を参照。
2006年1月にGeorge Brooksらが発表した論文において、ミトコンドリアの細胞での乳酸酸化の働きが検証された。
MCT1 : lactate-Pyruvate transporter 乳酸-ピルビン酸輸送体
CD147: lactate-Pyruvate transporter 乳酸-ピルビン酸輸送体
LDH : lactate dehydrogenase 乳酸脱水素(酸化)酵素
L6. : Immortalized rat skeletal cell 特殊な処理(不死化)処理したラットの筋細胞
Lactate oxidation : 乳酸酸化
激しい運動時には、解糖系が支配し、乳酸塩が細胞から血液に滲み出して、肝臓ではグルコースが作られ、心臓ではエネルギーとして利用されるが、それだけでは無く筋線維(筋細胞)のミトコンドリアでもエネルギー源として使われる。言わば、乳酸は酸化的代謝(oxidative metabolism)、解糖代謝(glycolytic metabolism)、嫌気的代謝(anaerobic metabolism)を結びつける物質であるとの認識がなされた。
また、George Brooksによると激しい運動(repeated shot, but intense, bouts of exercise)は大きな乳酸負荷を生み、からだはミトコンドリアを増やす事によって乳酸を素早く消費する様になる、との事である。
参考資料 :
- Lactic acidosis not athlete’s poison, but an energy source – if you know how to use it University of California – Berkeley ScienceDaily (参考までに、発表論文: Colocalization of MCT1,CD147,and LDH in mitochondrial inner membrane of L6 muscle cells: evidence of a mitochondrial lactic oxidation complex Takeshi Hashimoto, Rojaa Hussien, George A. Brooks )
- Lactic acidosis is not muscle’s foe, it’s fuel. The New York Times. (May 16, 2006)
- 乳酸と筋肉疲労 生化夜話 第47回 美しすぎる相関性が生んだ思い込み グローバルライフサイエンステクノロジーズJapan 株式会社 ホームページ
[p.136] なにかサプリメントを飲むだけで、乳酸が出にくくなるもの・・・・
前記の様に、乳酸は遅筋線維内のミトコンドリアの大切なエネルギー基質であると認識されているのに、その乳酸を出にくくするサプリメントを使用する事に違和感を覚える。
[P.143] インターバル速歩の後に乳製品を摂取
色々な効果が有る様だが、私の体験からするとウオーキング後に牛乳を飲むと眠くならなくなった。私のウオーキングは朝食前5時〜7時の間に行う。以前は午前中に眠気が襲ってきて眠くて仕方がなかった。牛乳を飲む様になってからは疲労感が無く、午前中もスッキリとしていられる。
第3章の読み込みはここまでとします。