[P.28] 体力の低下による「慢性炎症」の関与が指摘されている。
炎症反応(inflammatory response)は結合組織の関与も含めて明確にされている。このページにも述べられている様に、外部からの刺激や異物の侵入に対するからだの修復反応/防衛反応でからだを保護するためにあるため、一過性である。
それでは「慢性炎症」(chronic inflammation)は何なのか。
内容を整理すると
- 生活習慣で起こる。(生活習慣が発症原因に深く関与) : 年齢、肥満、食事、喫煙、性ホルモン、ストレス、睡眠障害など
- 炎症反応レベルが低く長引く、痛みや発熱は無い。
- 発症する場所が体内である。脂肪細胞に起こる : 糖尿病 。免疫細胞に起こる : 動脈硬化、高血圧症、認知症、うつ病。 サイトカインを介して : ガン
全て身近で、関心の高い病気であるが、これら全ての元凶をひっくるめて単に「慢性炎症」と呼んでいるようだ。また、慢性炎症にはミトコンドリアの機能低下や活性酸素が関連するとの事です。
加齢 → 筋肉のミトコンドリアの機能劣化 → 全身のミトコンドリアの劣化 → 活性酸素の産生 → 慢性炎症 → 生活習慣病
なお、加齢に関わらずミトコンドリア内でATPを合成する際に、酸素の0.1〜2%が活性酸素に変わる、との報告も有りますし、白血球は活性酸素を産出してバクテリアを殺す事に利用するとの事で、活性酸素は必ずしもからだに悪いだけのもの、とは言えない様です。
生体内には活性酸素を消去する仕組み(抗酸化防御システム)が備わっている様ですので、活性酸素がからだに対してマイナスに働く際は、その均衡が保てなくなった場合との見方ができます。話を戻せば、慢性炎症が日々の積み重ねである生活習慣により影響を受けると言う事も理解できます。生活習慣 → 慢性炎症 ?
参考資料 :
- 慢性炎症は生活習慣病とがんに共通する基盤病態 千葉大学大学院医学研究院 真鍋研究室
- Chronic Inflammation Roma Pahwa他
- 生体分子に起こる加齢変化―活性酸素とミトコンドリア 順天堂大学院 後藤 佐田良
- フリーラジカルの医学 京都府立医学大学大学院医学研究科消化器内科学 吉川 敬一