第1章 体力とはなにか
[P.14.] 体力が7%向上 (体力の数値表現と数値による比較)
体力の向上度合いは、一定行程にかかった時間の比較で評価する。
ケースA: 450分
ケースB: 420 分
向上度合い: 450/420 x 100= 107.1 → 体力が7%向上 → 体力年齢が7歳若返る
今の段階では、「体力は時間で計測できる、体力年齢と言う概念がある」、と言う事のまとめに留めます。ここだけ眺めていてもそれ以上は分からないので、先に進んで後で戻ることにします。
[P.15] 運動生理学
運動生理学とは何か。「運動によって身体にどの様な変化が生じるか、その現象と仕組みについての基礎を理解する学問(生体現象の裏に潜む自然法則を見つけ出す学問)」との記述をネットで見つけました。(至学館大学 体育学科 シラバス)
なお、運動生理学は英語表示は、以下の様である。
exercise physiology
kinesiology
体力の英語表現はいろいろ有るが、physical fitness(運動や栄養摂取の結果の体の健康[調子の良さ])が近いのではないかと思います。ちなみに、英語表記は、様々な文献にあたる際にとても重要で、時には別な英語表現でネット検索をするととても良い文献に巡り合う事が有ります。
[P.15] 運動生理学で扱う体力とは「持久力」と「筋力」
「体力」と言う言葉は、極めて身近で日常もかなり頻繁に使う。従って、その言葉を使う人、場面で言い表したい内容が多彩で、従ってあいまいに、都合よく使用されている。もう少し深掘りをしてみたい。
「体力」とは、公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットを参照すると、「行動体力」と「防衛体力」の2種類に分類されている。
- 行動体力: 筋力、持久力、柔軟性など、行動の基礎になる身体的能力
- 防衛体力: 病気やストレスに対する免疫力、環境に適応する能力
(なお、以降で引用する用語の定義は、信頼性が高いと判断したいくつかのサイトを参照して適宜使用しています。)
普段の会話で、最近体力が落ちて風邪を引き安くなった、などと「体力」を使っているので、防衛体力と言う分類が含まれる事は納得できる。でも、個人的にはこの様な時は「筋力が減少した事でからだが弱り」、そのため風邪を引いたのだ、と考えていた節が有るので、結構あいまいに理解していたものです。
今取り上げる体力、行動体力は「行動を起こす能力」、「行動を持続する能力」、「行動を調整する能力」に分けられる。
- 行動を起こす能力: 筋力や垂直跳び・立ち幅跳びなどの瞬発力
- 行動を持続する能力: 筋持久力や全身持久力(酸素を体内に取り入れ・運ぶ能力が関連)
- 行動を調節する能力: 運動の目的に合わせて身体の動きを調節する(敏捷性、平衡性、巧緻性、柔軟性)
本題に戻ると、「運動生理学で扱う体力」とは持久力と筋力を指しているので、「行動を起こす能力」と「行動を持続する能力」と言い換える事ができる。さらに、P.14で述べられた「体力の向上」は、運動によって「行動を起こす能力」や「行動を持続する能力」にプラスの変化が生じた、と言い換える事ができる。
なお、「体力の向上」、言い換えると「行動を起こす能力」や「行動を持続する能力」の変化を、同一行程にかかった時間の比較で確認できる、との事であるがこれについてはまだ十分に理解できていない。
蛇足 :
「筋力」は筋肉が発揮できる力であるが、指標としては「等尺性の最大筋力」が良く使われる。これは最大限の力を出し切っている状態で、外部の力と均衡して筋肉はそれ以上収縮も伸張もしない状態である。