筋肉の周辺
からだの表面からのアプローチはこれくらいにして、筋肉に移ります。
筋肉の周辺にも、結合組織あるいはそれに類する組織が存在しますので、その辺を今度は探ります。
筋肉は皮膚の下、皮下組織の次にあるものですが、皮膚からの連続体としてでは無く全く独立した器官として記述します。収縮のみを行うと言う筋肉機能の明快さ、収縮運動の仕組の巧妙さなどの特徴は、からだの外から内へと言うこれまでの話の流れを、ガラっと変えてアプローチするだけの価値が有るでしょう。
なお、筋肉の中でも骨格筋(skeletal muscle)に絞ります。横紋筋(striated muscle)、随意筋(voluntary muscle)などとも言われる筋です。ちなみに、筋肉にはそれ以外に内臓などを構成する平滑筋や、横紋筋ではあるが骨格筋とは違った働きをする心筋が有り、これらは比較的ユックリ動き、いずれも不随意筋です。
多くの資料では、筋肉と言うとアクチンとミオシンのスライド運動による筋収縮を真っ先に取り上げているが、筋肉の性質はそれだけなのでしょうか。その辺を探るために、筋発生(Myogenesis)から見ていきます。
器官の不可欠な要素として、細胞が有ります。筋肉の細胞なので筋細胞(myocyto)ですが、別名は筋線維(muscle fiber)とも呼ばれるように、非常な長さを持った細胞です。数ミリから数センチ、場合によっては30センチ以上。
もう一つの特徴は、細胞核が一つだけの単核ではなくて、複数の核を持った多核細胞(multinuclear cells)である点です。
筋細胞はなぜ、どのように非常な長さを持ったり、多核であるのか。「なぜ」その様な形態となったのか、はまだよく分かっていませんが、「どのように」についてはかなり解明が進んでいる様です。
胚の細胞群はその置かれた場所に従い外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化します。脊椎動物の胚発生4〜5週には神経管(mural tube)と脊索(notochord からだの主軸となる構造)のある中央の両側に、中胚葉由来の分節構造が生じ始めます。
参考資料 :
- Tbx6に依存したSox2遺伝子の制御が、体軸幹細胞の神経系と中胚葉への発生運命を決める 竹本龍也 他
- 筋骨格の再生をささえる幹細胞システム 三菱化学生命科学研究所幹細胞研究ユニット 橋本有弘