浅部脂肪層 : superficial adipose layer
真皮最下部の網状層(reticular layer / reticular stratum)から連続して丈夫な線維束(皮膚支帯 retinacular cutis)が縦方向に深部まで伸びており、真皮を膜質層にしっかり繋ぎ止めている。更に支帯同士をつなぐ結合組織により蜂の巣の様な隔壁に仕切られ、その中には脂肪細胞がある程度まとまった形の脂肪小葉(fat lobes/fat septum)の形で保存される。(小葉 : いくつかの小片によって構成される動物器官の一小片)
この辺に状況については、AHFの描写は生々しく秀逸です。
The fibrils that leave the dermis are continuous with those that enter the fat lobules. These lobules are embedded deep in the reticular dermis and are in total physical continuity with each other within the fibrillation network. Fibrils surround the lobules. (AHF P.36)
真皮を離れた原繊維は脂肪小葉に入り込む線維とつながる。これらの小葉は真皮網状層に埋め込まれ、フィブリル化 (繊維の中の小繊維が摩擦によって表面に出てきてけば立つこと) したネットワークで互いに物理的に連続している。原繊維が脂肪小葉を取り巻いている。
この脂肪小葉は大きめで区切りが明確に有り安定しており、変形の力が加えられても復元する性質が強い。隔壁中には真皮よりも多い血管、リンパ管、神経管、神経終末が収められている。従って、皮下組織のこの部分も結合組織である真皮と同様に周りの細胞の新陳代謝に寄与し、またからだの炎症作用に大きく関わっています。
AHFではこんなリアルな状態が確認できます。
The mobility of the millions of adipocyte within each lobule during externally applied movement is fascinating. There is complete and total harmony between them as they flatten, dilate, turn, and twist within the spaces that contain them, without separating or dissociating from each other when external constraint is applied by the surgeon. (AHF P.36)
外部から加えられた動きが有る時の各小葉に入った何百万の脂肪細胞の可動性は目を見張るものがある。外部からの圧が外科医によって加えられた時、脂肪細胞は収まったスペース内で、平べったく潰され、膨らみ、ひっくり返され、よじれ、しかしお互いに分離したりバラバラにならず、それらの間には完璧で全体としてのハーモニーが有る。
参考資料 :
Layers of the abdominal wall : anatomical investigation of subcutaneous tissue and superficial fascia. Luca Lancerotto 他
Architecture of Human Living Fascia. Jean-Claude Guimberteau , Colin Armstrong
皮下組織. ドクターズオーガニック
プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系