線維 : fiber
真皮には、コラーゲン線維(collagen fiber膠原線維とも言われる)や弾性線維(elastic fiber )、細網繊維(reticular fiber)が存在します。
ところで、線維あるいは繊維とはなんでしょうか。例えば、基質で取り上げた糖鎖は分子が連なった鎖状ですが、糖線維/糖繊維とは呼ばれません。線維あるいは繊維は、「自然に伸びた、または人工的に伸ばされた細くしなやかで凝集性のある紐状の素材」、あるいは「特に細長くなった固体」などの説明が見られますが、それだけでは腑に落ちません。この点は今後の話の中で見て行きたいと思います。
また、「身体の成分で、筋線維や神経線維など、糸状の長い細胞で構成される組織のこと」との記述も有りますが、今取り上げる線維は少なくとも細胞では有りませので、これには該当しません。
コラーゲン および コラーゲン線維 : collagen / collagen fiber
コラーゲンはタンパク質(protein)の一種ですので、生い立ちを遡ると生命の起源とも言われる「アミノ酸」にたどり着きます。
アミノ酸およびタンパク質について。
アミノ酸(amino acid)分子は、アミノ基(−NH2)とカルボキシ基(−COOH、カルボキシル基とも言われた)の両方の官能基を持つ有機化合物(organic compound)です。その中で生命に関わるタンパク質の構成ユニットをα-アミノ酸と呼び、RCH(NH2)COOH と表記します。(強調したCの周りに、NH2、COOH、H、R[この部分が変わる事でさまざまなアミノ酸の種類できる]が結合する。)
α-アミノ酸には、D型とL型の二種類が有りお互いに鏡像関係(私たちの手の様に、右手を鏡に写してみるとその像は親指から小指までの全ての位置関係が左手と同じになる)にありますが、この世の中のほとんど全ては片一方のL型のみです。L型アミノ酸は互いに結合して鎖状や網目状に連なる事ができます。その中で、2〜50個ぐらいの少数のアミノ酸が結合した化合物は、ペプチド(peptide)と呼ばれます。
ペプチドと言えば、最近の日経にペプチドリームと言う製薬関連の会社の記事が掲載されています。この会社が提供する中分子ペプチドの製品は、生命活動に欠かせない高分子と少数の分子からなる低分子の中間に位置しており、両方のいいとこ取りができて汎用性が高いので、最先端の医薬品を低コストで作る事ができる期待を背負った会社だそうです。
さて、タンパク質は20種類(自然界に存在する約500種類のアミノ酸のうち、カルボキシ基の結合している同じ炭素原子にアミノ基が共有結合している、生命に関わるアミノ酸は20種類のみに限られているが、理由はまだ解っていない。)のL型αアミノ酸がたくさん結合した高分子化合物(polymermorecule)です。隣り合ったアミノ酸分子が脱水縮合(2個のアミノ酸分子から水分子H2Oが切り離されるペプチド結合[peptide link] -CO-NH- )して、100〜400個の鎖状分子なります。色々な呼び方が有って混乱しますが、これはポリペプチド(polypeptide)とも呼ばれます。
生体内に有るタンパク質はさまざまな形を作って機能を発揮しています。
例をあげると、酵素、ホルモン(インシュリン)、輸送タンパク質(ヘモグロビン)、運動タンパク質(筋肉を構成する、アクチン、ミオシン)、構造タンパク質(コラーゲン)などです。
参考資料 :
ペプチドリームに製薬大手が列 高額薬に「挑戦状」 日本経済新聞 2019年5月28日掲載の記事