GAGは体内では、コアタンパクと結合してプロテオグリカン(proteoglycan)と呼ばれる化合物で存在するものと、それ自身が単独で存在するものが有ります。
・プロテオグリカンとして存在するGAG [sulfated] :
コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、ヘパリン(heparin)、ヘパラン硫酸(heparin sulfate)、などなど
・単独で存在するGAG [non-sulfated] :
ヒアルロン酸 (hyaluronic acid)のみ
プロテオグリカンは、コアタンパクに無数のGAGが共有結合(covalent bond 原子間で電子対を共有する化学結合で、ほとんどの分子は共有結合によって形成される)するので、コアタンパク由来の性質とGAG由来の性質を持ちますが、GAGの性質が主、タンパク質が従となり、主な特徴は以下の通りです。ちなみに、タンパク質の性質が主で糖の性質が従の化合物は糖タンパク質(glycoprotein)です。
- プロテオグリカンの性質 –
・保水性が高い
・水を十分に吸ったスポンジのように、弾性や剛性が高い
・溶液中で伸展し巨大な分子容積を占めて、線維タンパク質の間を埋め、支持組織として働く
・成長因子や機能タンパクとの相互作用をする
(成長因子 : 特定の細胞の増殖/分化を促進するタンパク質)
(機能タンパク: 酵素や物資を体内に移送するなど、体内での化学反応に携わるタンパク質 :ヘモグロビンなど)
その他にも、からだの特定の場所(例えば、関節)で特徴的な特徴(例えば、潤滑性)を発揮します。
基質には、それ以外にも毛細血管から浸み出る血漿(plasma)、栄養素(nutrient)、ホルモン(hormone)、抗体(antibody)、白血球(white blood cell)や細胞から排出される代謝老廃物(metabolic waste)などが混在しています。従って、基質は毛細血管やリンパ管と細胞の間での物質移動の仲立ちをする役目も負っています。
この様に、基質はプロテオグリカンなどの高分子が溶け込んだ溶液と考える事ができ、環境が変わる事で液状のゾル状態と固状のゲル状態を行き来する性質も持っています。(ゾル-ゲル転移 sol-gel transition)
その時には、当然ながら粘度が変化しますので、その変化はからだの状態を左右する事になります。
さらに、新しい基質が供給されない様な事態が起こると、内容物の劣化による性質の変化(固着など)も見逃せません。